「昨日のことなんだけど、星崎君、あんなこと言ったってことは、アタシの気持ち、バレバレだったってことだよね」

「いや・・・別に」

 正しくは、俺が、じゃなくて、カズが、だし。

「アタシ、ダメだ。それでも星崎君のこと、好きなんだ」

 顔を上げた相沢が、綺麗に笑った。

 綺麗に笑った笑顔から、キラキラと涙が落ちていった。

「何でお前告りながら泣くんだよ」

 一瞬返答に困った俺はそんなことを言って、目をそらした。


「星崎君、祐也さんのこと好きって言ってたけど、男同士、だよね。そんな恋愛したって、星崎君にいいことなんて一つも無いと思うんだけどな~・・・あはは」


 それは多分、相沢なりの冗談だったんだろうと思う。

 俺に他に好きな人がいることはちゃんと理解してるって、そういう意味の冗談だったに違いなかったけれど。



 俺には重すぎる言葉だった。



 俺は目線を外へ逃がした。



「今日、告白するんだ」

「・・・そう、なんだ」

「フラれんのはわかってんだけど」

「そう、かな、案外うまく行っちゃったりしてね」

「それは、絶対に無いと思うんだけど」

「だけど・・・?」



「止まらないんだ」



 オレンジ色の空が、赤く染まって行く。

「でも、おかしいんだ。止まらないはずなのに、動けないんだ。ビビってんのかな」

 外の景色が変わっていくたびに早まる鼓動。

 オレンジ色の時間は、もう終わるって言うのに。

 そんな俺に、相沢は、

「・・・だったら、告白やめればいいんじゃない?そしたら私にも希望あるかな~あはは。
 ・・・なんちゃって」

 そう言って、また笑った。