「やぁ。」


 授業が終わって下校中。商店街に入ったところで呼び止められた。

「・・・よく会いますね。」

 イヤになるくらい。ここのところずっと毎日会ってる気がする。

「何、シンの知り合いか?あれ、この間、FFで・・・」

 一緒にいたカズが首をかしげた。

「シンって呼ばれてるんだね。それじゃ俺も今度からシンって呼ぶ。」

「いいよ、呼ばなくて。」

 わざと表情を変えないでそう言ってやった。

そんな俺の態度を見ながらカズはますますわけがわからないと言わんばかりの表情を見せた。

「だいたい“今度”があるかもわかんないよ。」

「あるよ、きっと。もう知らない人じゃないんだし。」

 どこまで前向きなんだこいつ。

美化して友達になれたらいいなーなんて思ってたのは、それ自体がすでに美化だったことに今頃気付かされる。やっぱり想像は現実になってはいけないものなんだ。



「行こうぜ、カズ。」

 このまま話してても拉致が空きそうになくて切り出した。

「いや、俺先に帰るよ。じゃな、シン!」

「何でだよ!」

「ちょっと用思い出した。また明日な。」

 言い捨てるようにそそくさと去っていくカズの背中を呼び止めるでもなく見送って。なんとなく祐也をニラみつけた。


「あー・・・ごめん。本当にごめん。俺のせいだね。」


 そんなこと言われたらニラみつけてる俺が悪いみたいに見える。

おぼっちゃまはどこまで計算して話しをしているんだかわからないな。

「いいよ別に。それじゃね、トモキヨさん。」

 その場から、逃げだそうとした。

そんな俺を追いかけるように少し走って、俺の隣を歩き始めた。


「何のつもり。」



「方向どうせ一緒だから、お互いに歩調を調節して相手に気付かれないようなフリして歩いたりわざわざルート変えたり、めんどくさいだろ。一緒に帰ろう。」


 強引にそんなことを決めつけて一緒に歩いた。