ブープップー

車の音が鳴り響く都会の街。

今日も一人街を歩く

周りの大人たちが驚いた顔をして

こちらを見ている

まあ、それもそうだろう。

今の時間はとっくに深夜を過ぎている

それだけならいいのだが、

私はまだ高校生

それは驚くに違いない

歩いていると店がたくさん見えるが

空いている店は数少ない…


私は今何をしているのかというと

バンドのオーディションに落ちて

ショックで街をふらふらと

歩いていたのだ

帰らなくても家には誰もいないから

なにも言われない

でも少し寂しいかな…なんて。

気分が優れないから少し歌でも

歌いながら帰るかな…


そう思ったのが間違いだった…


ラーラーラーラララー♪

ぼとっ

急に物音がしたのでそちらに

振り返ると、男の子がいた…


私はパニックになった。


まさか歌を聴かれるなんて…

「あ、あのぉ…聴いて「君すごいね!

びっくりしたよ!ここまで歌が

上手な人がいるなんて!」…」

その人は私の言葉を遮って

自分の感想を述べてきた

「え、あ、どうも…?」

「君って歌手?すっごくうまいけど」

「いえ、歌手なんてものじゃ…」

「そうなの?じゃあ、俺の歌を
歌う気ないかな?」

「え、あなたの歌を…?」

「そう!俺はこう見えて作曲家なんだ」

「え、あの…無理です、!」

「え!なんで!」

私がやりたいのはバンドなんだ…

歌じゃない。歌はもう…

「歌は、、歌えないんです…」

「…え、、どういうこと…?」

これだけは言えない…

「あの、すいません…!では!」

私は逃げるように走った。