兄弟はじめました


入籍、結婚式、新しい住まいの話で盛り上がっている最中、史郎さんから驚きの話を口にした。


「美海ちゃん、君には兄弟ができるんだ」
「へ、」
「美海ちゃんより10年上でね、男なんだがね」
「え、え、え」
「良かったじゃない!美海、兄弟欲しいって言ってたから~!!」
「(お母さん、痛い)」


お母さんは嬉しそうに、あたしの方をバシバシ叩いた。
あたしはただ驚きでいっぱいだった。


「博臣って言うんだけど…今は一人暮らしをしていてね」
「はぁ…」
「これを期に一緒に暮らそうと思ってるんだけど…どうかな?」
「わー!!いいわね!!私賛成よ、史郎さん!!」
「本当かい!?」
「美海だって、今年受験だし私と史郎さんだって仕事忙しいから、毎日は帰れないし…それに、新しい暮らしで何かと不便でしょ?!」
「あ、うん…まぁね、」
「そ・れ・に!!美海を守ってくれる人が居て安心なんだもの」
「お母さん…」
「僕もね、一から温かい家族をつくって絆を深めたいんだ…美海ちゃんのために、ね」
「佐藤さん…」


お母さんは強引な所もあるけど、全部あたしを思っているからだってことは、理解している。


佐藤さんもあたしの為に、一所懸命お父さんになろうとしてくれている。


(全部、全部)
(あたしのため…)


「あたし、お兄ちゃんと住みたい、な…」


すんなりと言葉が溢れ出した。