「美海、こちらがずっと話していた…佐藤史郎さん」
「はじめまして、佐藤史郎です。よろしくね、美海ちゃん」
「あ、よろしくお願いします!」
史郎さんの第一印象は熊みたいだと思った。
大きな体と、のんびりとした声にちょっとだけポッコリお腹。
大手建設会社社長とか言うけど、こんなのんびりした人で会社は大丈夫なのかな?って疑問にも思った。
でも、あたしの話を聞く時の真剣な目とか話を引き出す、コミュニケーション能力は上手いと思ったし、これはこの人の性格だと思った。
あたしの心がほぐれた所で、史郎さんは真剣な顔で言った。
「美海ちゃん、瞳さんと君を幸せにします。だから、僕の娘になって下さい。お願いします。」
(そんなの)
(答えは、一つ)
「こちらこそ、よろしくお願いします」
あたしに家族ができた瞬間だった。
