「こ、ここ…??」
「そうみたいねぇ」
一見、どこにでもありそうな普通のマンション。
しかし、真っ白な外装のせいかどこか品を感じる。
(今日から此処が)
(あたしの家)
その数ヶ月前にお母さんは再婚をした。もちろん、あたしにとっても凄く嬉しいことだったから。
お父さんを亡くした時のお母さんは、心身共に憔悴した。それは、小さかったあたしでも分かった。
でも、お母さんは「下ばっか見てらんない!このままだと、大悟に怒られるわ!」と職場復帰し、あたしを育ててくれた。
キャリアウーマンとして、バリバリ働く反面あたしは家では独りで過ごすことが多かった。
でも、寂しいとは思わなかった。だって、お母さんはあたしのために働いてくれているから。
(もしも)
(お母さんに幸せが訪れたら)
(目一杯…祝福するんだ)
そう願ったあたしに、神様からお母さんにご褒美をくれた。
