「そのような問題も解けないのですか??よくこの高校が受かりましたねぇ…。まさかカンニング「するわけあるかーーー!!!!」


(誰か)
(この悪魔を)
(滅して下さい…!!)


この悪魔もとより、佐藤広臣はあたしのお兄ちゃん(断じて認めてはいない)


数学で解けない問題があったため、仕方なく聞きに行ったのにもかかわらずこの言いぐさ。盛大な溜め息を吐きながら、あたしに冷たい目線を送る。


(今なら)
(その目線で)
(死ねる、のですが…)


「美海さん…」
「な、何だよ…」
「…教科書開いて下さい」
「え、」
「徹夜で1人でやりますか??」
「!!あ、ありがと…ございます…」


そう言いながら悪魔は丁寧に一つ一つ、ゆっくりと教えてくれた。


(流石、教師…)
(保健室勤務だからって)
(舐めてた、)
(すげーじゃん…)


「…ということです。理解しましたか??」
「うん、分かった!」
「なら、良かったです」


そう言って、悪魔は満足そうに笑った。あたしも、少しだけど悪魔に感謝した。あと少しだけ…関心した。


(さっきの質問)
(やっぱり)
(どんな答えでも)
(兄弟って)
(いい、かも…)


そんなことを考えていたのも束の間。
悪魔はやっぱり悪魔だった。