それからは、なんか嫌なことがあると、すぐにこの丘に来ては昂に助けてもらってた。 …でも、今日は昂に来てほしくない。 あれだけ忠告してくれてた昂を、私は裏切ったんだから。 不思議と涙は出ない。 心のどこかで分かってたんだ。 先輩は私のことなんて好きじゃない事くらい。 それでも残るモヤモヤの正体は、意固地になってた私への後悔と、もうひとつは──。 「杏っ!!」 ああ、やっぱり君は、私を見つけてしまう。