下駄箱まで行って、帰るのはちょっと失礼かな?と思った。なんか。

昇降口の石階段に座って待ってよう…。

私は石階段に座って、眠りについてしまった。


「…おーい?」

「zzz」

「りんー?何、犯して欲しいの?」

「…」


寝ていた私の頬を指でついていたのは、陸だった。

陸は石階段の一番下の段にしゃがみこみ、私の顔を除いていた。


「…いっ…」

「ちょっと叫ばないでよ…柚希に起こられちゃうでしょ」


陸の大きな手が私の口を塞ぐ。


「柚希、前より話してくれたよ」

「んー」

「嬉しいねー!」

「んー」


ふーんとしか返事のしようがない。

陸は今までで一番綺麗な笑顔を見せた。


「りん、じゃあね」

「…」


陸は不満そうにまた私の頬をつついた。


「最後くらい笑ってよ」

「無理」

「まじか。まぁいいや、また会えるしね?」

「…」


立ち上がって校門に向かう陸。


「り…陸!」


何も言わず振り返る。恐怖はあまり感じなかった。


「い…一生会いに来んな!」

「はは、傷付くなー。」