いつか君と


「八幡さん…」

「はは、大丈夫ですから。気にしないでください!」


光井先輩は辛そうな顔をしていた。

多分、私の言ってること信じてない。あいつに会ったって…


「…ごめんね」


そう言って私を抱き締めた。

あいつとは違った、温かい腕に、また涙が溢れた。


「な…何で光井先輩が謝るんですか?」

「…」


光井先輩はなにも答えなかった。

家に帰って、修理したての携帯を開く。

左手を見ると、アドレスが書いてあった。

アドレスだけ見れば誰だかさっぱり解らないような、個人情報が一切入っていないアドレス。

私は震えながらも宛先にあいつのアドレスを打ち込む。


(どうなるかわかるよね?)


何度も忘れようとした、あの声が頭で鳴り響く。

そして私はあいつに空メールを送った。

すぐに返信がきた。


「空メかよー(´・ω・`)まぁいいや、ありがとね(・∀・)」


私はメアドを登録しないまま、携帯を放り投げた。

メアド変えればいいか…。

そう考えた途端、携帯が震えた。


「メアド変えるなら教えてね( ´艸`)」


…考えはお見通しって訳か…。

裕人に相談しようか?美紗に聞いてもらおうか?


「…もう嫌…、」

誰にも言わない。一人で戦う。そう心に決めた。

制服のまま、私は眠りに落ちた。