「うん」
「…っ」
光井先輩の笑顔を見ると苦しくなる。
なんでだろう…、陸と影が重なってしまう。あいつと先輩は全く違うのに…
「…ごめんね、話したくなったらいつでも聞くから」
「…すいません」
「あ、君の名前聞いてなかった、」
私が謝ると、先輩は話をそらすように明るく言った。
「八幡林檎です」
「へー林檎か、美味しそうだね」
「はは、よく言われます」
気付くと私は口元が緩んでいた。
5分ほど話すと、先輩は教室に戻ると言った。
「じゃあ、無理しないでね?」
「はい、本当にありがとうございます」
ピシャッ
私だけになった保健室はやけに静かで、心細く感じた。

