今助けを求めれば警察を呼んでくれるかも…
私は目眩を覚えながらも立ち上がった。
「…、あ、あのっ……っ!?」
「うるさい」
呆気なく後ろの壁に追い込まれてしまった。
右手で口を塞がれ、息が苦しくなった。
「…はあー今何時?」
「そうね大体ねー」
「真面目に!…わーもう6時か」
「まだ日長いからねー」
外から聞こえる女性たちの声。その会話を聞くと、女性たちは公園近くのテニスコート利用者らしい。
にしても長くいる…。
…ドアとか蹴れば気付くはず…!
私は渾身の力でドアを蹴った。
ドーン!!
「え!?何今の…」
「故障中のトイレから聞こえなかった…?」
ざわつく女性たち。よっしゃ!助けてくださ…
「嫌だー怖いから行こ」
「そだねー…」
「んんっ!」
行っちゃった…。私は全身の力が抜けた。
…苦しい。手が大きいから鼻まで塞がれている。
「ふ…っふうひ…」
「ふうひ?」
苦しいって伝わんないのかな…。
「あぁ、苦しい、ね。」
「…はぁっ…」
やっと綺麗な空気がすえた…。
夏なのに寒気が止まらない。私はいつまでここにいなきゃいけないんだろう。
「はぁ……ん…っ!」
まだ呼吸が整わないうちに、私の口が陸の口で塞がれた。
口の中に、あの日と同じ感覚が広がる。
嫌だ、怖い…っ
私は陸を突きはなそうと腕に力を込めて肩を押した。
「それ、逆に煽ってるよ?」

