よく考えると裕人の部屋久々だなー…

昔から変わってないな、ゲームとテレビとベッドと机だけ。

植物も置物も何もない、無駄のない部屋。

カチャ、と裕人がティラミスをひとつ持って来た。

「ん」

「わーありがとう!」


美味しそー…。てか食べるの私だけか。

裕人は私の後ろのベッドに寝転んだ。


「美味しい!」

「そりゃ良かった」


裕人は溜め息混じりに笑った。

私は後ろのベッドに寄りかかった。


「ティラミス食べたの初めてだよーめっちゃ美味しい」

「そんな美味しい?」


うん、とだけ言うと、裕人は起き上がって、私の顔の横に顔を出した。


「一口」

「ん」


裕人にあーんというやつをした。昔からしてるしね。躊躇いも何もない。


「…。」

「ど、どうしたの?」

「いや、何でもない。ありがとな」


頭を撫でてくる裕人、少しドキッとした。少しだから。