「あ、裕人洗剤変えたでしょ」

「知らねぇよ、」

「前のが好きだったな」

「あーはいはい、」


裕人は口は愛想無いけど、いつも微笑んでる。優しいし面白いし頼れるし、理想の男子。


「あら、りんちゃん達いつもラブラブねー」

「あっ、ありがとうございま…」

「馬鹿か。」


近所のおばさんにラブラブと言われ、思わず受け入れてしまった。

それに反対して、裕人は私の頭を軽く叩いた。


「ほら、帰れ帰れ。」

「えー冷たいな」

「ラブラブなんて言われたらなんか嫌になった」

「がーん」


私は咄嗟に裕人から離れた。

すると、裕人は私の頭に手を置いた。


「ん、じゃあな」

「…じゃあね」


扉を開け、家の中に入っていく裕人を見届けないまま、私も家の中に入った。

裕人は、勿論彼氏ではない。

友達として大好きだけど、恋愛面では見たこと無い。

私は靴を脱ぎ、リビングのソファにうつ伏せになった。

家族は誰もいなかった。


「ふぅー…」


大きく息を吐き、全身の力を抜く。


「着替えよ…」


上のシャツを脱ぎ、スカートのチャックを開ける。

すると、網戸にカナヘビがくっついているのを発見した。


「あっ!かわいー!!」


思わず声をあげ、逃がさないようにゆっくり網戸を開ける。

後ろからゆっくり手を伸ばし…


「GET!!」

「GETじゃねぇよ服着ろ」


ガッツポーズを決めていると、後ろから声がした。


「…」

「お前なんか髪止めみたいなの落としてった…って、痛い痛い!」

「馬鹿!」


急いで家に駆け込みカーテンで体を隠した。