「もー林檎、先行っちゃうなんてひどいなー、はい。電車賃!今度ジュースおごってね!」
「は、はは…ありがとう」
美紗はすっかりいつもの美紗に戻っていた。朝の低血圧振りはみじんも見られなかった。
「てかさ、昨日の駅乗り過ごしちゃったからさって言うのさ、今思うと林檎電車いらなかったよね」
「今さら!?」
あえて言わなかったが、私は高校と家が近いので電車はいらない。
「まぁ、楽しかったし!結果オーライ!」
「そうだね、お泊まり会的なね」
その後も、美紗と話ながら学校へ向かった。
その日、私は光井先輩の姿を見ることはなかった。

