そう言って彼は手をはずした。後ろを見ると、うん。やっぱり中城 伊吹だ。
なんであたしがこいつを知っているかというと、いや知っているのはあたしだけではない。
なぜならこいつは、世界でトップクラス、いや1、2を争う、あの中城財閥の息子。
つまり、世界で1番のお坊っちゃまだ。
「おーい。」
でも、たしか中城財閥ともうひとつあった気がするんだけど……。
「おーい。」
どこだったっけなぁ。
「おーい、つってんだろ!」
「ひぃ?」
う、思わず ? になっちゃった。
「ひぃ?とは、いい度胸してんな。」
「こいつ、俺様か?」
「こ、この……!」
あいつは手を振り上げた。殴られるー!
あたしは反射的に目を閉じた。
あれ? 何も衝撃がこない。恐る恐る目を開けると、ん?
