「あの、」

「へっ?」

急に、目の前に人がいることに気がついて、

変な声がでてしまった。

「あっ、ごめんなさい!」

急いで本を閉じて、顔をあげた。

そこで、また驚いて、変な声がでてしまった。

「ほげっ」

でてしまった声を抑えるように、手で口をおさえた。

すると、陸くんは、不思議な顔をしながら、

「これ、返したいんだけど」

初めて聞いた陸くんの声は、少しひくくて、落ち着いた声だった。