今、街はクリスマス一色。
街も人々もキラキラ輝いている…がここにとってもとってもと〜っても暗い少女が一人。
それは私。
涼宮 セツナ 高校一年生の地味で冴えないいじめられっ子。
そんな私にだって趣味はある。
それは写真を撮ること。
だから今もこうして街に出てきてイルミの写真を撮っている。
レンズごしにイルミを見つめてみる。
…綺麗…。
いろんなところにレンズを動かしてみると、別の綺麗なものが目に入った。
真っ黒な髪の毛、紅く薄い唇。
白い肌に細身の長い手足。
簡単に言うと、白雪姫を男バージョンにした感じ。
白雪王子?みたいな感じの彼。
その美貌についつい長い間見てしまう私…。
そんな私に気づいたのか、彼は気味が悪そうな感じでこっちに近づいてきた…ってウソでしょ〜っ‼︎
ちょっ、こっち来ないでよ。
私は慌てて歩き出す。
「ちょっと君〜。そこの三つ編み女っ!」
無視無視。
三つ編み女なんてそこら辺にいる。
「紺のトレーナーきた奴」
大丈夫、あの人だって紺のトレーナー着てるもん。
「変なチェックのロンスカ履いた奴っ」
それって完全に私じゃん。
「…はいっ」
……。
「お前、ストーカーしてただろ」
「そっ、そんな、まさか!」
「だってほら」
そう言って彼が指さしたのは、私の一眼レフ。
「こっ、これは。その〜…」
「かせっ!」
「きゃっ!」
カチャッ。
彼は強引に私の一眼レフを奪った。
「や、やめてよ。返して」
「嫌」
彼はそう言って器用に一眼レフをそうさする。
駄目だと分かっていてもついついその姿に見とれてしまう…自分がいる。
「あっ」
見とれていると彼が声を上げた。
「な、なに?なんかあった?」
彼の写真は撮ってないんだけど…。
だけど、次の言葉で私の身体は真っ赤に染まる。
「綺麗だね〜。これって君が撮ったの?
すごいね。」
「ま、まあね」
彼は私が撮ったイルミの写真をこっちに向けてきた。
それと同時に満面の笑みも向けてきた。
かっこいいな…なんて思っちゃう自分がまたいる…。
そしてそれが彼と私の初めての出逢いだった。