君想歌

拒む和泉を無理矢理に
押さえて強く抱きしめる。


「大丈夫だから。
大丈夫だよ?」


居なくならない。


吉田は、そう繰り返す。


和泉の身体から伝わる
鼓動の速さ、息づかい。


それが落ち着いたのは日が昇り
部屋の襖が叩かれた時。


寝たはずが疲れきった表情の
和泉を見ると土方は吉田を
睨んだ。

「貴様……」

「栄太郎は約束守った。
夢見…悪かっただけ」



今にも倒れそうな和泉に
見兼ねて土方が抱き上げる。

でも吉田の手を離そうとしない。


「寝てろ。副長命令だ」


そう土方に言われて
渋々目を閉じた。

土方は玄関まで着いてきた
吉田にあろうことか頭を下げた。