君想歌

「――み!!和泉っ!!」


散々に肩を揺らされ
大声で叫ばれ。


ようやく目を覚ます。


「栄太郎……?」


やけに……身体が重たい。


嫌な夢をみた後はいつもそうだ。


歪む視界は泣いてるからで。


どれだけ悲しい夢でも
泣くことは今日が初めて。



「和泉?」


栄太郎は人差し指で浮かんだ
涙を拭ってくれた。


哀しそうに、が一番当てはまる。


吉田の顔を見つめると
直視出来ず目を反らした。


「大丈夫だよ。
俺は居なくならない」


酷くうなされて。

怖かっただろうに。

なのに助けを求める
言葉一つ出さない。