そう言われ初めて自分が
相手の顔を見つめていたと
気がついた。


和泉の頬に朱がさし
恥ずかしさの余りにうつ向く。


「ごめん。
川が綺麗だったからさ。
少し時間を潰そうと思ったら
人が来たんだ。
ところでキミ、名前は?」


和泉に彼は一言謝り訊ねた。


「瀬戸、和泉」


「俺は吉田栄太郎。
和泉、女の子だよね?」


名前を言うと吉田は
一瞬目を見張る。

新選組一番隊組長補佐としての
和泉の名はかなり京の広範囲に
広まっている。


それより男装が初対面で
見破られるなんて。

新選組の幹部以外には
ばれないと自負してたのに。