君想歌

芸子の一人に案内された
一室に入ると酔いが回ってくる。


そうだ……。
酔いざましするため
席立ったんだ。


「和泉、お酒強くない?」


カララっと一寸ほど窓が
開けられ涼しい風が吹き込む。

簪[カンザシ]を抜かれると
ぱさりと髪がほどけ肩に流れた。


涼しさに目を細めながら
和泉は頷いた。


しばらく話していたが栄太郎は
一つ欠伸をする。

片手で髪紐をほどき
布団に潜り込む。

「おいで」

布団の隣をポンポンと叩く
栄太郎の隣に潜り込んだ。