水面を見つめていた男性が
振り返り和泉と視線が交わる。

回れ右しそうになった
和泉だが、


「隣、おいでよ」


妙に上から目線の話し方に
珍しく素直に従ってしまう。


男性は墨色の着流しを着て
目鼻立ちがしっかりしている。

所謂、美丈夫。


すとんと隣に腰を下ろすと
笑いながら彼は口を開いた。


「どうしたの?
俺の顔じっと見て」