君想歌

若干強引に和泉の肩を引き寄せ
腕の中に抱き込む。


「慣れてないの?」

唇が触れそうな距離で
吉田は和泉を見下ろす。


「っるさい!!」

腕から出ようにも。

身体の自由は吉田の左腕だけで
押さえられている。


「これなら残らないよね?」


一瞬の触れるだけの口付けに
和泉は目を見開く。

「キミは俺の」

とんでもなく。
独占的な言葉だけど。

嫌では無い。

「俺だけの存在」


だって居場所が絶対に
栄太郎の隣にあるから。


どんな形でもいい。

必要だと思われていたかった。

居場所を確保して一人に
ならないように虚勢を張り続け。

だから何もせず素の自分を
晒せる、栄太郎の隣が一番楽。


「独占欲強い男は嫌われるよ」


皮肉めいた言い方をしても、

「結構。和泉が居るなら良い」


さらりと普通なら言えない
言葉を吉田は言ってしまう。