「あっ!忘れてました!
子供たちと壬生寺で遊ぶ約束を
この前していたんですっ。
お金ここに置いて行くので
払っておいてください!」


席から勢いよく立ち上がった
沖田は慌ただしく店を後にする。


何も刺さっていない団子の串を

歯で挟み後ろ姿を見送った。


勘定を済ませ店を出るが
まだ夕方まで時間が余る。


「鴨川にでも行くか……」


ゆっくりとした足取りで
通り歩き。

真っ直ぐ進んだ場所に
流れる鴨川を目指した。


だが程無くして到着した
その場所には。

土手を下りるとそこには
一人の先客が居た。

日当たりも良く自分だけの
お気に入りの場所なのだが。


しかも高い草に囲まれていて
普通は気付かない。

誰も来ないと思っていた場所の
先客に和泉は足を止めた。