君想歌

翌日。

真っ赤になった和泉が
沖田の頬を平手うちにする。


午前中のうちに屯所の隅々に
知れ渡った。



「お前はなっ!!
和泉には男も出来たんだ!
だからちったぁー慎みを持て」

頬に紅葉をつけた総司を
土方が呼び出す。

お…ぅ……。
和泉も容赦ねぇな。

まぁ、そりゃそうか。

ずっと男の名前を呼びながら
泣いてたもんな。

純潔がなんか言いながら。

浪士組結成前。

似たようなことが一度あったな。

沖田の姉ミツが総司に会いに
試衛館に訪れた。

帰りが遅くなり泊まった時に
俺が風呂に入っちまって。

重たい桶が二度頭に
飛んで来たな。

減るもんじゃねぇだろ、なんて
言えば軽々しく言うな!!と。

怒鳴られ寒空の下手拭い一枚で放り出された記憶は新しいぜ。


苦い思い出があるからこそ、
和泉にも軽はずみな言い方は
出来なかった。


スパスパと煙管を吸い横目で
総司を見やれば不機嫌を面に
口を尖らせてやがる。