君想歌

どこから入ってきたのか。


目線を低い場所に走らせると
障子の穴が目に入る。


「……………セン」


客間の障子に穴をあけるなんて。

土方にばれる前に朝一で
障子を張り替えなければ。


「黒猫なんて珍しいわね?」


指を舐めながらころころ転がる
センの鈴が鳴る。


「拾ったのは優しい奴です」


短い足で稔麿の後ろを
着いていたセン。

今は和泉の前を歩く。


「巡察の時まで着いてくる
変わり者ですよ」


真っ黒な瞳で見上げるセンの
鼻先を撫でる。



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