君想歌

結局、ミツの相手を頼むと
強引に押しきられ。


和泉は客間に残った。


ちゃっかりと退室間際に山野が
囁いていった言葉が憎い。


なーにが和泉さんの代わりは
しっかり務めます、よ……。


山野の頼れる人柄に嬉しく思う
反面。


肝心な場所で和泉を放っていく
山野。


困る、だいぶ困る。


「和泉ちゃん」

座ったまま話し出せずに居る
和泉にミツから口を開いた。


「和泉ちゃんの事。
文で近藤さんに大体聞いたわ」


「……はい…」

一瞬、哀しそうに顔を歪めた
和泉をミツが見逃すわけもない。


「吹っ切れない?
好いた人のこと」

ミツの踏み込んだ質問に
ぐっと押し黙る。


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