君想歌

太陽が照りつけて温度が
余り上がっていない空気は
まあまあ涼しい。

手にもった白い花を墓前に
そっと置いた。

毎日欠かさずに供える花は
道すがらに摘んでいる。

それは美しいとは
言えないかもしれない。


小さくてもそれなりの良さが
あるならいい。


そう思うから。


「あーあ……。稔麿の馬鹿。
祇園祭、もうすぐなのに」


返って来ることの無い答え。

自己満足でも良いんだ。


「絶対連れて行ってよ。今度」


じゃり、と背後でした音は
和泉の耳に入っていなかった。

さぁっと冷たさを含んだ
風が吹き着物を引き寄せる。

少しだけ無理したように
笑う和泉の前に陰が落ちた。


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