君想歌

和泉の手から落ちた刀に
斎藤は動揺を隠せていない。


膝をついている和泉に直ぐ様
原田が後ろに着き槍を一閃。


大した実力も無くその場は
数分のうちに片付いた。


斎藤が後の指示を隊士に出し
和泉の傍へ早足で駆け寄る。


「和泉、どうした」

「分からない。
刀を見たら、動けなくなった」


戸惑ったように言う和泉を
原田は壁にもたれ見ている。


「……なに?」

原田が眉を寄せて和泉を
見下ろす。

心当たりは、と続けようと
口を開いた原田を斎藤は
無言で制した。


思い当たる節が斎藤には
聞かずともあった。


わざわざ和泉から聞く必要も
無かろう。


「帰るぞ、原田。後は任せた」


斎藤に手を引かれ和泉は
申し訳そうに見ながら
歩いていった。


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