君想歌

今、和泉は何て言った?

周りの音が遠くに感じる。


耳が他人の声を拾いあげた
訳でもない。


「池田屋後から。
使えなくなってた」


儚げに笑う和泉を見れば
嘘で無いと分かる。


「巡察で気付いた。
一くんと左之さんは、知ってる」

逸早く、和泉の異変に
隣を歩いていた原田が
気が付いた。


池田屋後、長州を問わず
狙われる回数は格段に増えた。

きちんと稽古はして。

問題は無いはずだった。


すらりと慣れた動作で抜刀し
構える。


煌めいた剣身に和泉は
地に縫い付けられた様に
動けなくなった。


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