君想歌

和泉は片膝を立てて俺が
解いた髪を結い直している。

……髪紐使ってるんだ。

水色と赤色。

俺があげたのは二本。

和泉いわく、
隊務がある時は水色。

完全休みの時には
赤色にするとか。

こだわりがあるらしい。


紐を軽く口に挟んで髪を
上でまとめる。

馴れた手つきで蝶々結びにして
手を下ろした。


「帰ろうか。
大分、京の端まで来てるから
遅くなる」

吉田は和泉が髪を結い終わると
立ち上がる。


「ん?
別に歩きながらでも結えたのに」


和泉だけじゃないんだってば。俺だって一緒に居たい。


それに新選組は狼の巣窟。


京から離れでもしたら
変な虫がつくかも。


「そっか。虫よけだ」


隣を歩く和泉の肩を掴み、


「噛みつくなぁぁぁあ!!
アホぉぉお」


かぷっと首筋に噛みついた。

強烈な平手打ちをくらう。

……など間抜けな真似はしない。


瞬く間に赤くなった和泉には
その状況がイマイチ分かって
いなかったらしく。

数秒後に叫ぶ事となる。