君想歌

池田屋に会合に行く前に
振り返り稔麿は言った。


「和泉のこと…頼むよ」


あの言葉を忘れていた自分に
腹が立った。


あれは稔麿なりの遺言だった。

もし和泉を殺したならば。


稔麿の思いを踏みにじった
俺は二度と稔麿と顔合わせが
出来なかっただろう。


「高杉……?」


黙りこんだ高杉に心配そうに
和泉は首を傾げる。


「あ。悪い。
なんか思い出しちまった」


乾いた笑いを漏らして
頭をかいた高杉。


明るい言葉とは逆に表情は
愁いを含む。


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