君想歌

下駄の音が夜道に響く。


「殺さなくて良いの?」


屯所に続く細い路地に入ると
人通りは完全に途絶えた。


後ろを歩く高杉に振り返らずに
笑い混じりに訊ねる和泉。


「本当は殺すつもりだった。
大事な……友を殺したから」


危機感を感じさせない声で
淡々と述べる。


壬生寺で土方と並ぶ和泉を見て
高杉はどんな気持ちだったのか。


「刀も差してねぇ奴を殺す
義理はないからな」

「嘘つき」



さらりと言った和泉に高杉は
言い返せない。


.