君想歌

死のうなんて思わない。



でも心の整理がつくのは
何時になるかは分からない。


それまでは稔麿の墓参りを
続けよう。


ただ吉田がくれた懐刀が温かく
感じられ妙に安心できた。


「帰るよ。
高杉、わざわざありがとう」



簪を着流しの帯に差して
微笑む彼女はどうやら一歩
踏み出せたようだ。


吹っ切れたような表情を浮かべ
高杉に前方から声を掛ける。


「おう。送るぜ!!
じゃあな稔麿。また来るぜ」


先を歩く和泉の後を高杉は
後ろも振り返らず追った。



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