君想歌

和泉の隣で高杉は胡座をかいて
酒を飲んでいる。


その相手は勿論、吉田。


飲む主が居ない杯に満たされた
酒は水面に波紋を作る。


「懐刀。稔麿からか?」


高杉は和泉の腰に差された
懐刀を懐かしそうに眺める。


「うん」

和泉の胸元には巾着に入れた
紅も、ぶら下がっている。

大切過ぎるもの。

手放すことは出来ない。


「それな。
俺たちの師が稔麿に譲ったんだ」

高杉の口からの意外な事実。


そんな大事なものを。

どうして私なんかに?


戸惑いを露にする和泉の頭に
高杉は手のひらを置いた。


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