君想歌

だいぶ歩いた所で高杉の足が
ぴたりと止まる。


同時に和泉の膝が地面についた。


「連れてきてやったぜ。稔麿」


夜風で一輪の桔梗が揺れる。


ひっそりとした場所にある
墓石には名は刻まれていない。

嗚咽を漏らす和泉の前に
そっと差し出された包み。

「稔麿。俺が渡しとくぜ」

もうこの世に居ない吉田に
語りかけるように高杉は
言葉を続けた。


頭をかく高杉は渡すべきか
迷ったのだろう。


だから。

わざわざ吉田の前で渡した。



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