誰にも会わないようにと
裏口から出たというのに。


見越したように待ち受けていた
土方に溜め息を吐いた。


「人の顔見て溜め息を吐くな。
馬鹿野郎が」


歩いてきた土方は和泉の髪に
手を伸ばす。


「……触るな」


ぱしんっと土方の手を叩いた
和泉は彼を睨む。


「今日は近くに泊まる。
夜襲でも掛けられたら厄介だ」


しばらくの後。

土方は用件だけ告げると
中へと入っていった。


その土方の姿が消えると
案内するという隊士を断る。


とってもじゃない。

今は一人になりたかった。


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