口にしたはずの言葉は彼女が
刀を落とした音に消された。
沈黙を熱を帯びた夜の風を
静かに揺らした。
気配に気付いたのか和泉は
緩慢な動作で顔を向けた。
「遅かったね。応援も来たんだ。
吉田なら死んだよ」
書かれた物を読むような。
まるで感情が見えない和泉に
戸惑う。
「下、降りてるから」
和泉は一度も目もあわさずに
廊下に出ていった。
余りにも素っ気ない態度に
ぐらりと視界が揺れた。
「暑っ……」
「総司!!」
和泉の態度に、じゃないですね。
暑さにあてられたらしい。
それだけ分かります。
崩れ落ちるように倒れた僕を
支えた斎藤くんの焦った声が
どこか遠くに聞こえた。
*
.
刀を落とした音に消された。
沈黙を熱を帯びた夜の風を
静かに揺らした。
気配に気付いたのか和泉は
緩慢な動作で顔を向けた。
「遅かったね。応援も来たんだ。
吉田なら死んだよ」
書かれた物を読むような。
まるで感情が見えない和泉に
戸惑う。
「下、降りてるから」
和泉は一度も目もあわさずに
廊下に出ていった。
余りにも素っ気ない態度に
ぐらりと視界が揺れた。
「暑っ……」
「総司!!」
和泉の態度に、じゃないですね。
暑さにあてられたらしい。
それだけ分かります。
崩れ落ちるように倒れた僕を
支えた斎藤くんの焦った声が
どこか遠くに聞こえた。
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