君想歌

吉田は和泉に抱き付く。

和泉の背中に腕を回すと
こう言った。

「名前、呼んで」


ぽかんとした和泉にもう一度
吉田は繰り返す。

「和泉。俺の名前、呼んで」

「稔麿?」


よく意味が分からないまま
吉田の名前を呼ぶ。

「もう一回」

「稔麿」

「もっと」

「稔麿。好きだよ稔麿」


心に刻み付ける。

和泉の声を、体温を。



「和泉」

名前を呼ばれ顔を上げると
吉田の視線と交わった。


束の間。


吉田の唇が和泉の胸元に
紅い華を咲かせる。


小さな痛みを伴い咲いたそれに
指を滑らせると吉田は笑った。

「忘れないで、俺を。
好いた人が和泉に出来るまで」


「ずっと忘れないよ。
稔麿は一番大切な人だから」



「もう……」

困った顔をした吉田は
和泉と深く唇を合わせる。


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