君想歌

先越された!!と背後で叫ぶ
藤堂の悔しそうな声。


二階に上がると手当たり次第に
襖を蹴り開けていく。


たまに外れを引き中から浪士が
雪崩のように出てくる。


狭い廊下は和泉たった一人の
攻撃で血に染まっていく。


「居なくなった?」

返り血だらけになった着物は
今すぐに脱ぎ捨てたい。

襖に散った赤色。

辺りに転がる屍に身震いした。

自分がやった事だというのに
恐怖を自分を支配する。


頭を振って思考を振り払うと
廊下へ進む。

逃げた奴らは下に任せれば
良いだろう。


そこまで和泉が追っていれば
キリがあるまい。


汗を拭おうとして手を止める。

自分の血か、返り血か。


真っ赤に染まった手のひらから
目を反らした。


階下の乱闘騒ぎを聞きながら
奥の部屋の襖を開いた。


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