君想歌

池田屋へ向かう道すがら
たたっと隣に並んだ藤堂は
声を潜める。


「おいっ。総司と喧嘩したのか?」

一度も喋らない二人に藤堂は
とうとう我慢ならず尋ねる。


「ん〜ちょっとね」


表情とは逆に低くなった声に
話題を変えた。

和泉の感情は読み取り難い。

だが最近は分かりやすくなり
ここで深く問い詰めたりすれば
和泉は怒ると感じた。


「そんな軽装備で大丈夫かよ」


鉢金だけの和泉に心配で心配で
ならない。


眉を寄せる藤堂は明らかに
巡察と変わらぬ和泉の格好に
別の意味で緊張していた。

もし怪我をしたら……。


「だって暑いじゃん」

「うん。そうだけど」


そんな藤堂の心配をさらりと
和泉は流した。



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