君想歌

和泉が告げた言葉に土方は
目を閉じる。

『色恋より隊務を優先しろよ』


土方との約束を和泉は
きちんと守っているのだから。

そこに辿り着くまで。

どれだけの苦しみだったかは
土方には計り知れない。


笑っているのも。

和泉の本当の笑いじゃない。

泣きそうになる感情を
無理に押し込め。


所謂、感情の裏返し。



その時だった。



「何で好いた人を殺すって
普通に言えるんですか?
何で笑えるんですか?」


沖田の無邪気な質問に土方は
はっとする。


疑問を口にするのは良い。


だがこれは。

和泉の心を抉る言葉の刃だ。


案の定、和泉の笑みは消える。

「総司。
聞いちゃ駄目な事もあるって。
知っててね?」


くるりと背を向けた和泉は
廊下に出て行った。


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