君想歌

夏の蒸し暑さを含んだ風が
開いた襖から吹き込む。


前髪が顔に掛かり邪魔そうに
耳に掛ける和泉は平然と沖田を
見ていた。


「吉田が恋仲だって言ったのは
失言だった。
それは私自身が招いた事。
土方が責められる義理は
一つもないよ」


弱い自分が悪い。

情に流された自分が悪い。


隊務に私情を持ち込むのは
御法度。

土方が躊躇したのも和泉が
吉田と関係を作ったが故。


「覚えてるよね?
自分が片付けますって言ったの」

確かめるように土方に尋ねた
和泉。


まだその記憶は新しい。


「あぁ」

「吉田は自分が殺します」


きっぱりと言い切った和泉に
息をするのを忘れていた。


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