君想歌

幹部が全員屯所内に散らばると
土方は頭を引っ掻いた。


枡屋――古高が吐いた言葉を
確実に和泉は耳にしたはずだ。

土方の思考を遮るように
バンッと襖が開く。


「土方さん!!
和泉泣かしたでしょう!!」


「あぁぁん!?」


前へ後ろへ土方を揺らす
沖田の剣幕にぎょっとする。


和泉を泣かした!?


何故沖田がそんな事を言うのか
微塵も理解が出来ない。


余程焦っているのか珍しく
隠しもしない足音の主は
沖田の肩を掴んだ。


「総司!!勘違いだってば!!
土方が悪い訳じゃないっ」


どうやら和泉と沖田の間で
話が食い違っているらしい。

しかし泣いたと言われれば
和泉の目を見れば納得できる。

「でも古高を捕まえなかったら!!」


沖田が声を大にして言った瞬間。

土方の表情が固くなったように
和泉の表情も一変した。
.