君想歌

初めて和泉の涙を見た二人は
どう声を掛けるべきか悩む。


吉田絡みである。


それだけは言葉が無くとも
理解が出来た。


「うわ……ごめんなさい」


急いで袖で目を擦る和泉の前に
山南は膝をつく。


「焦らないで。
一度、吐き出せば良いですよ」


和泉の心の中には。

――吉田を自分が殺す。


それしか無かった。


山南の手が和泉の頭を撫でる。

覚悟はあった。

無責任な自分の行動が起こした
結果は残酷だ。


そう遠くない未来で。

自らの手で吉田の命を消し。

交わした約束までも消す。


「吉田は私が殺りますから」


「和泉さん」


言葉にするものの。

止まれと願う涙は
全く止まらなかった。


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