君想歌

開き掛けた和泉の口を塞ぎ
山野は早口で告げる。

「また自分のせいだとか
思ってませんよね?
謝ったりしたら怒ります」


ちゃっかり山野に先手を打たれ
和泉は謝ろうにも謝れない。


山野が怒ったら和泉は
仕事に手が回らなくなる。


「八十八っちゃん」

山野に話しかけようとして
改めて言葉を声にした和泉。


突如として空気を揺らした
叫び声に肩が跳ね上がる。



断続的に響く悲鳴は蔵方面から。

枡屋に土方による容赦無い
拷問が始まったらしい。


「和泉さん、大丈夫ですか?」


「あ……ごめん」


山野の柔らかな声に正気に戻る。


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