君想歌

*長州藩邸、吉田自室*


「おー。帰って来たか」

「帰って来たかじゃないんだけど」


相変わらずに自分の部屋の様に
高杉はくつろいでいる。


雫の落ちる髪を拭きつつ
溜め息を吐いた。

遠慮という言葉が頭の何処を
探しても見つからない男。


さっきは勝手に消えるし。


「……悠は?」

「玄瑞のところ行って話し中」


窓際に座り涼む吉田に高杉は
遠慮がちに切り出した。


「稔麿、あの計画。
本当に実行すんのか?」


「あぁ……あれ。
祇園祭が終わったらね」


迷った様子も無く言う吉田。

そして高杉に口を挟ませる
暇を与えず言い切った。


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