君想歌

それがですね……と山野は
口を尖らせる。


「知らない人に蹴られたんです。
和泉さんとは面識があるように
見えました」


蹴られた腰を擦る山野に
同情もできる。


吉田は和泉以外の人物には
扱いが雑。

悠は例外だが。


山野の言葉に土方の脳裏には
一人の人物しか浮かばなかった。


「黒髪の美丈夫野郎か」


「あれ。副長知り合いですか?」

知り合いもどうもこうも。


俺らが血眼になって探してる
長州の吉田だよ。


間違ってもそんな事は
言えやしない。


喉元まで出掛かった言葉を
飲み込み。


「理由は分かった。斎藤は残れ」

沖田の右側に座する斎藤だけ
部屋に残るように命じた。


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