君想歌

刃を伝った血で刀が手から
滑り落ちる。

四度目だ。


身体に汗で張り付く着物も
滑る刀も鬱陶しい。


吉田に負担を掛けまいと
努力すればするほど。


足手まといになっている。


長引く戦いは向いていない。

改めて痛感する。


疲れも見せない吉田を横目に
負けまいと着いていく。


「和泉、自分の速さでってば」

「でも」

「でもじゃない。
俺の言う通りにしてくれるよね」

和泉が無理に上げた速さに
吉田は厳しい口調で言った。


最初の動きで和泉が持久戦に
慣れてないと知った。


和泉は女。


力はどうしても他に劣る。

ならば。

小柄な身長と足の速さを生かし
速さで勝負する事を教えるはず。


吉田の推測は少しも
間違っていなかった。


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